2015年2月2日月曜日

メモ

知覚のあわい —知ることと感じること

「私たちは動くために知覚しなければならないが、知覚するためには動かなければならない」
—ジェームズギブソン

0.はじめに
知ることと感じることの関係性について
 さわりに、渡邊恵太の「カーソルによる手触り感提示システム」[渡邊 2003]に触れる。

VisualHaptics: カーソルによる手触り感提示システム
http://www.persistent.org/visualhaptics.html

 今回のゼミでは芸術作品における知覚と感覚について考えてみようと思う。古典から近年の若手作家までの作品の紹介とともに、今回はテーマを視覚に絞り、それらについて論じる。

1.感じること
身体感覚を用いた作品群
「Open Field」-「バーチャルボーイ」-「見ることは信じること」

 影の存在しない空間で無限遠を体感させるジェームズタレルの「Open Field」 [2000]、Ledとミラーによる構造で人間の視覚に立体感を与える任天堂の3Dゲーム機「バーチャルボーイ」[1995]、そして 裸眼では認識できない赤外線LEDを赤外線スコープで覗いたときに、文章として他人の生活を覗き見ることが出来る“見えないモノの存在を視る装置”、八谷和彦の「視ることは信じること」[1996]の3作品をもとに、感じることについて話す。

2.知ること
計測することを用いた作品群

「雲を測る男」-「視点ユニット」-「物的証拠」

金沢21世紀美術館の屋上で椅子の上に立ち雲を物差しで測る男の銅像、ヤン・ファーブル「雲を測る男」[1999]、ホワイトキューブ(白い箱)2閉じ込められたカメラが各種の計測機器を撮影し続けることにより撮影されていない範囲までに映像の可能性を提示する、時里充の「視点ユニット」[2014]、そして、出来事と、その出来事が現象として引き起こす痕跡/証拠を題材としたOAMAS谷口暁彦研究室の「物的証拠」[2014]の3作品を元に、知るということについて話す。

3.いつもどこかで視られている
無自覚な知覚、無意識の感覚について

「アイ・オー —ある作曲家の部屋」-「歩行者用通路の錯視シート」-「Painstation」

毛利悠子の「アイ・オー —ある作曲家の部屋」[2014]は、一種のインタラクティブ性をもった作品である。そこにある楽器やブラインドなどの日常から持ち出したような品々は、そこにやってきた鑑賞者の持ち込んだホコリによって描かれた楽譜を元に、自動で演奏されていく。鑑賞者はそうと知らされるのでなければおそらくその意図を永久に汲み取れないであろう。そのいずれか、が知覚されるということ。

村上郁也の特許である「歩行者用通路の錯視シート」[2008]は、目の錯覚を利用したよ後者の誘導手段である。この錯覚による意図せぬ人体の制御は人間の感覚と知覚の関係性を揺るがすものとなるだろう。
http://astamuse.com/ja/published/JP/No/2006002431

/////////fur//// art entertainment interfaceの「Painstation」[2001]は対戦型ゲーム筐体の形式をとるテレビテニスゲームである。しかしこのゲームは、テレビテニスの失点ごとに
プレイに使わないほうの手を鞭のようなデバイスで殴打する。ゲームという勝敗と優劣、競争の遊びにおける人間の機微を、否が応でも認識せざるを得ない構造となっている。
この作品をプレイすることによって、痛覚という逃れ得ぬ感覚から自分自身の内面を知ることとなるのだ。

4.拒否、そして知覚不可能であること。

「無題」-「黒の正方形」-「L'Origine du monde」
白のみのテクスチャーでカンバスに描かれたジョシュ・スミスの「無題」[2014]、白地に黒い正方形の描かれた、ただそれだけの絵、カジミール・マレーヴィチの「黒の正方形」[1915] そして光を吸収する顔料を用いて描かれた無限に深い穴、アニシュ・カプーアの「L'Origine du monde」[2004]これらの作品について


以下に引用した作品について、適当なリンクを羅列する。

ジェームズタレル,「Open Field」,2000.
http://jamesturrell.com/artwork/open-field/

hamatsu,任天堂失敗列伝~第三回~「バーチャルボーイの巻」,2015/2/2チェック.
http://d.hatena.ne.jp/hamatsu/20090510/1241950896

八谷和彦,「見ることは信じること」,1996.
http://www.petworks.co.jp/~hachiya/works/jianrukotoha_xinjirukoto.html

ヤン・ファーブル「雲を測る男」,1999.
https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=30&d=3

時里充「視点ユニット」,2014.
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2014/Openspace2014/Works/Viewpoint_Unit_j.html

思い出横丁情報科学芸術アカデミー 谷口暁彦研究室 「物的証拠」,2014.
http://materializing.org/14_oamas/

毛利悠子「アイ・オー —ある作曲家の部屋」 ,2014.
http://yokotori-art.tumblr.com/post/100816852651/4

ジョシュ・スミス「無題」2014.

カジミール・マレーヴィチ「黒の正方形」,1915.
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E3%81%AE%E6%AD%A3%E6%96%B9%E5%BD%A2

アニシュ・カプーア「L'Oringine du monde」,2004.
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?d=5&g=30