2017年11月9日木曜日

侵略者の平和 第三部 長門有希

読者諸氏にとっても人生において、あの時ああだったら、こうだったら、と逡巡する機会は多いと思われる。
朝比奈さんは未来人であり、未来から来た人であり、PTSD(だったと思う)というタイムマシンのようなものも持っているのだから、例えば何か大きなミスを犯して赤っ恥みたいな状況になってしまった際に、あの人は目の端に涙をためながら過去へランナウェイするのだろう。もっとも、あの人が頻繁に『禁則事項』『禁則事項』と連呼しているところを見るに、その辺りは強く上司から戒められているような気がするのだが、あの人ならうっかりミスで頻繁に「涼宮ハルヒの娯楽天国」が建設されたディストピア未来にたどり着いてしまいそうであるので、ちょいちょいそういうミスの修正をしてるのではなかろうか、とも思う。ハルヒは馬糞の山に突っ込むのがお似合いというところだろう。

その頃朝比奈さんは、何度繰り返してもハルヒが馬糞の山にダイブしてしまう世界線を修正するために、孤軍奮闘していたというのは、後で聞いた話になる。

アイスピックでつついたとしたら、ちょうど良い感じにカチ割れるんじゃないかという地球を、暖かい日差しが優しく溶かしていくような、そんな陽気の昼だった。