先日ラーメン二郎にSOS団のみんなで行ったのだが、その時の長門食べっぷりは、それはもうすごいものだった。映像でお伝えできないのが残念でならない。
ハルヒは大盛りを完食したものの自分の口から立ち上る強烈なニンニクの臭いによって死んでしまい。古泉は失神。朝比奈さんは小ラーメン半分を食べて、帰り際に路地裏で大量のゲロを吐いていた。電車でも吐いていたし、なんなら帰り際にさようなら、と手を振りながら吐いていた。谷口は「仰天動地だ…」と言っていた。
家で三点倒立をしながら天才バカボンを読んでいると、未来の朝比奈さんがやってきて「キョンくんに未来に行ってもらいます」と言ったので、ああ、俺は未来に行くのだな
、と思ったのだった。
朝比奈さんはおなじみのPTSDを使い、第三次非核戦争で多くの捕虜を尋問し銃剣で突き刺して殺した記憶のフラッシュバックに襲われ、俺の部屋の隅でカブトムシの幼虫のように丸まってゲロを吐きながらむせび泣いている。俺が三点倒立しながらどうしたものだろうと思案に暮れていると「情報の、えーと、なんかが、その、ポカリスエットは甘い。だから私の侵入を許す」と言って長門が窓から入ってきた。俺のプライバシーは一体どこに行ってしまったんだ。
「ポカリスエットを所望する」
と長門が言ったので、俺は仕方なく、一階の台所の冷蔵庫からポカリを出してきて、長門に与えたのだった。自分のゲロの上を散々苦悶の表情でのたうち回った朝比奈さん(大)は、今や息も絶え絶えになって、顔面に脂汗を浮かべながら全身の穴という穴から体液を垂れ流していたので、脱脂綿に含ませたポカリスエットを飲ませることにした。ちうちうと脱脂綿からポカリを吸う姿はちょっとした大きなカブトムシかカナブンといった感じであった。
長門はポカリを1.5リットル一気しながら、なにやら呪文のような言葉をつぶやくと、朝比奈さんは金色の光の粒子になって消えてしまった。
どうしてそんなことをしたんだ、と長門に問うと
「汚かったから…」
と答えた。確かにそうだが、女の子がそんなことを口に出していうべきではないぞ、長門よ。
俺たちはやることがないので、ハルヒの家に行った。ハルヒの家はお葬式の最中だったので、俺たちは特に何かするということもなく、お焼香をあげて帰ってきた。長門はずっとポカリを飲んでいた。
「稲妻よ、聖なる長門有希をめざせ!」完